デザインのあてな

身近なところにデザインのヒント

おもしろい角度発見?

 

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「この角度から見てほしい!」と思ったとき、私たちはその角度が人が立っているときの自然な目線からそう見えるようにします。でも、ベストな角度が自然に見えると、それ以上見ようとしないというデメリットもあります。

 

ある観光スポットで、「ここが一番の絶景です!」と書かれた看板がありました。すると、そこで写真を撮ってそこを去っていく観光客がたくさん…。それを見て、自分で一番美しく見えるポイントを探さなくなっているように感じました。自分なりの絶景を探す楽しみ。他の場所から観る。反対側から観る。かがんで観る。「あっこの角度から観たらおもしろい♪」という発見も、見てくれる人に味わってもらいたい魅力のひとつ。ここ最近、展示関係の仕事が増え、訪れた人がもっと楽しめる方法はないかと考えるようになって、そんなことを考えています。

 

 

1万円が高いわけじゃない?

 

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 普段は安い服ばかり買っている私ですが、あるときに1万円のシャツを買いました。でも、購入を決意したときには、私の中から「高い…」という印象は無くなっていました。1万円という価格が高いのではなく、価値に共感できないから高いと感じただけ。適正な1万円、安い1万円もある。

 

業界としては破格!と大反響を確信して打ち出したサービスが、蓋を開けてみたら鳴かず飛ばず…なんてことがありますが、それは価値と金額を天秤にかけたときに、釣り合わなかっただけ。私が1万円のシャツを購入したときは、はじめは高買った1万円が、話を聞いて共感点があるたびに価値が上がって適正な1万円になっていました。もちろん、現実的に難しいことは多々ありますが、価格を落とす前に、まずはその価値がきちんと伝わっているかを見直した方がいいかもしれません。

 

 

確認したら遠慮する?

 

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 来客でコーヒーを出す際、砂糖とミルクが必要か聞くと、かなりの確率で「大丈夫です!」と答えるそうです。ちなみに私はミルクだけ入れる派ですが、聞かれたときは「大丈夫です!」。手間をかけさせないためです。

 

できる人は聞かずに用意する。何が必要ですか?どこまで必要ですか?と確認すれば、無駄も手間は省けるかもしれません。でも、それを聞くのはナンセンス。相手が必要になりそうなものをこちらであらかじめ用意しておくことが、相手を考えるということだと思っています。それに、確認した内容が必ずしも相手の要望と一致するとは限りません。コーヒーは極端な例ですが、それ以外の様々なシーンで、確認したために相手が満たされないケースはよくあります。

 

 

自分が関わらないと進まない?

 

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 商品でもサービスでも、一人歩きをはじめたら成功とよく言われます。打ち出した後にそれが広がるかどうかは、主催者が関わることなく、その商品やサービスが勝手に進んでいくかどうか。いつまでも自分が関わらないと進まないようだと、それはいつまで経っても先に進みません。

 

以前、あるイベントをやることになり、私は自分の役割として当然のように関わって準備をしようとしていました。しかし、その時は別の仕事の都合で準備に関われないことに…。結果、滞りなくイベントは開催され、加えて、それまでにはなかったいろんな発見やリアクションがありました。その経験で分かったのは、いかに関わらないようにするか。他の人に任せて、自分は別の役割を担えばいいんです。自分が生み出したものや深く関わってきたものだと、間違った方向に進まないようにずっと近くで面倒をみたくなる気持ちはよく分かりますが、そうしていることで成長を妨げていることもあるかもしれません。

 

 

競ってはじめて実力が分かる?

 

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 他の人と競って、はじめて足りないところが分かる。部活動で自分がレギュラーになれなかったら、選ばれている人と何が違うのかを自然と考えるようになって、足りないところを満たそうとしたり、得意な部分をより高めようとします。

 

私ははっきり言って、経験もスキルもセンスも、第一線の人たちと比べたら足元にも及びません。でも、それを痛感したのは、そういった人たちと競った経験があるから。遠くからその人たちの活動を眺めているだけでは分からないことが、同じフィールドに立つだけで驚くほど実感できます。なかなかできませんが、時間を見つけては定期的に公募コンペなどに応募するようにしているんですが、たまにそれをやるだけでも自分の実力を十二分に教えてもらえます。コンペを勧めてもなぜか参加を渋る人が多いのは、自分の実力が明らかになってしまうのを恐れているからかもしれません。

 

 

自分の話は後回し?

 

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 会話が上手な人は、先に相手の話を聞いて、自分の話は後回しにするそうです。会話は決して得意ではありませんが、それをなんとなく実践するようになってから、実際に会話がしやすくなりました。今までは相手に合わせてもらっていたのが、私の方が少しだけ合わせられるようになった感じでしょうか。

 

一方的に話されて相槌だけ打っているような状態では、こちらが相当歩み寄らない限り内容に共感できません。でも、自分の投げかけたことに関係した内容を返されたら、少なからず耳を傾けます。私は広告なども同じだと思っていて、実際に広告を見る人が話しかけることはありませんが、話しかけたと考えるようにしています。話さない相手と会話する。知っている人は別ですが、はじめて会った人にいきなり「SALE! SALE! SALE!」とは言わないはずです。

 

 

変わってるからまた行きたい?

 

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 行くたびに変わっている場所はとても魅力的。自然の景色はもちろん、美術館の展示やお店の商品など、日々変わっていると、また行きたいという衝動にかられます。アミューズメント施設も常に変化しているのは、きっとそうだから。

 

老舗のお菓子屋さんや伝統工芸のように、同じものを提供し続けることも素晴らしいこと。変わらないことを求めて、また行きたい気持ちになることはあります。ただ、一方で、同じ顔が二度とないから行きたくなることもある。それは、期間を限定することかもしれないし、日々変化させることかもしれません。内容によってはそれが必須なこともあって、変わらないと「1回行ったからもう満足」になってしまうことも。また行きたい♪。そう思ってもらえるかどうかが肝で、そうならないと、どんなにたくさんの人が訪れても維持が難しい気がします。

 

 

再出発は誰も知らないコミュニティで?

 

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「東京の大学でサークル活動に熱心なのは上京した学生」という面白い記事を読みました。地元が東京の人は、大学に入っても誰かしら知り合いがいるので、そこで弾けることができない。でも、地方から上京した人にとっては、誰も知らないコミュニティに切り替わったので、今までの付き合いを気にせずに関われるという内容です。

 

それまでのコミュニティと一切関わりのないフィールドを選ぶと、ゼロから出発できるというメリットがあります。ただ、私もそうですが、それがなかなかできない人も多く、自分の性格や経験、実力を理解してくれる人を頼って、近いコミュニティを選んでしまう傾向があります。そうしてしまった場合に一番こわいのは、自分の客観的な見え方が分からないまま時が経っていくこと。長い間同じコミュニティにいた人が、一歩外に出た瞬間に戸惑うのはきっとそれが原因です。諸先輩方は、若い世代に「外の世界を見てこい!」とよく言っていますが、若い世代に限らず、知らないコミュニティと接点を作ることは大切だと思っています。

 

 

狭いところから入ってみる?

 

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「コンビニに置いたら売れる物を考える」…なかなかの難題です。でも、その課題を少し狭めて、「コンビニの食料品と日用品の間のスペースに置いたら売れそうな物を考える」になったら、途端に考えやすくなります。

 

制限の少ない、いわば自由課題について考えるが得意な人はたぶんいません。「会社にとってプラスになるアイデア考えて!」と言われても、漠然としすぎて何から考えて良いか分からなくなります。そこに「私の得意なことを活かせることで…」「あの人が担当するとしたら…」と、ちょっと間口を狭めるだけで考えやすくなる。それでうまく考えられなかったら、また別の制限に変えてみればいいだけ。自分で縛りを作る。これができるようになると、制限だらけの課題についても、「一旦あの制限を外して…」といった広げて考えることも簡単にできるようになります。

 

 

美しくない瞬間を探す?

 

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 最近、デザインをする際に強く意識しているのは、時間軸です。私は主にプロダクトデザインをやっているんですが、どこに置かれてどう使って…といったシーン以外に、美しくないシーンがないかをよく考えるようになりました。

 

スマートなペットボトル。カタチもスマートで、携帯するときも、飲んでいる姿もスマート♪。でも、キャップを開け閉めするときや潰して捨てるときはスマートではなかったりします。そこにデザインの余地がある。物に限らず、時間軸を追って考えていくと、必ずと言っていいほど物足りないところが見つかります。そこを満たす方法を考えるだけで、デザインを見直せることもある。新しいデザインを考える際に、切り口が見つからないと悩んでいる人は、ぜひ時間軸で考える方法を試してみてください。

 

 

よく知ってる物をプレゼント?

 

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 誰かにプレゼントや差し入れをするときは、自分がよく知っている物にしなさいと教えてもらったことがあります。「このお菓子、あまり知られてないんですけど地元では有名で、子どもの頃からよく食べてるんです♪」。

 

食べたことがあるもの。自分が食べて美味しかった物。これを作っている人は実は…といった、よく知っている物は、会話のきっかけになるだけでなく、気持ちを込めて選んでくれたと思ってもらえるそうです。人気のお菓子をもらってももちろん嬉しいことには変わりありませんが、もう一歩伝えるには足りない。物によっては、適当に選んだと思われてしまう可能性だってあります。知らないことをカタチだけで伝えても、上手く伝わらない。それを教えてもらえた良いきっかけでした。

 

 

都合のいいターゲット?

 

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 企画を考えるのは、誰かにアクションを起こしてほしいから。もっと言うと、起こしていない人に起こしてほしいから企画を考えるわけです。でも、自分のアイデアに溺れてそこを見失ってしまうことがあります。

 

例えば、インスタ映えするお菓子を売るお店に来店してもらうための企画を考える。そのときに、「インスタ映えするお菓子を探している人」をターゲットにしても意味がありません。理由は、自分たちで探すからです。ターゲットが明確な企画は内容の良し悪しがあっても前に向かっていけますが、ターゲットがブレている企画は全く進みません。企画書あるあるですが、ターゲットを決めることが大事とよく言われるのは、そこの捉え方次第で結果が大きく変わるからだと思っています。

 

 

大事なときに選ばれるお店?

 

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「あなたは高級レストラン?ファミレス?それとも町の定食屋さん?」。そう聞かれたことがあります。自分の仕事を飲食店に置き換えたら、どの立ち位置に相当するかという質問です。

 

高級レストランは、記念日には選ばれるかもしれない。ファミレスは、大きく失敗することもなく、無難に美味しい。町の定食屋さんは、好みが別れるし、当たり外れがあるかもしれないけど、そのお店の味を提供してくれる…。自分のお客さんがどんな人か分かっていないと、もしくはどんなお客さんに来てほしいか考えていないと、間違った店構えをしてしまうという話です。そんなに費用をかけられないお客さんが普段使いをしたいと思っているのに、こちらが高級レストランだったら利用し続けるのは苦しいし、ちょっと違うものを求めているのに無難なものばかり提供していたら、ガッカリしてしまいます。

 

 

少しでも時間が経ったら興味ゼロ?

 

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 情報は鮮度が命。1日発信が遅れるだけでも、興味が半減してしまうものです。1週間前の出来事を今さら公開しても、誰も興味を持ってくれません。昨日のことなら少しは見てくれるし、今日のことならもっと見てくれる可能性は大きくなります。

 

私はサッカーが好きで、時間が合えばテレビで生中継を観ます。でも、仕事で見逃すこともしばしば。ただ、「昨日やってたよ」と言われるとショックなのに、「もうそれ1週間前にやってたよ」と言われると「そうか~」程度。直近のことには敏感でも、過ぎたことには鈍感になるんですよね。誰しもそういった経験はあると思うんですが、自分が発信する立場になると、途端に鮮度の重要性を意識しなくなるから不思議。発信するにも労力が必要なので、億劫になるのは分かるところもありますが、時間が経ってからやっても意味がなかったりします。