デザインのあてな

身近なところにデザインのヒント

ガムを噛めば私は集中できる?

 

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 集中力を高めようと、ガムを噛みながら仕事をしはじめた人がいました。結果、その人の集中力は確かにアップしましたが、その隣で仕事をしている人の集中力は落ちました。また別の人は、お菓子をつまみながら仕事をしていました。隣にいる人は、そのお菓子の匂いで集中力を削がれてしまいました。

 

野球選手も集中力を高めるためにガムを噛んでいます。家ではリラックスして作業をしようとお菓子をつまむこともあります。でも、その隣には人がいません。私たちは、自分の何かを達成するために、他人の何かを奪っていることがあります。自分がやりたいことをやれば、やりたくないことを他の誰かがやることになるし、自分のスタイルを貫こうとすれば、相手のスタイルからどんどん離れていく。個人の成果が問われるような環境ではそんなことを考える余裕がなかったり、周囲に同調することだけが正しいとも思いませんが、そこに自分以外の誰かがいるなら、その人の何かを奪っていないか?を考えてもよいかもしれません。

 

 

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理屈より気持ちを代替?

 

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 私は床に座って、ソファにもたれかかるのが好きです。そんな話をすると、大抵は座椅子を購入することを勧められるんですが、ソファにもたれかかるのと座椅子は私にとっては別モノ。床に座った時にもたれかかりたくなる他のモノを提案されたら、興味が湧いてしまうかもしれません。

 

デザインの道に進もう決めてからしばらくの間、私は理屈で物事を整理する方法をとってきました。抽象的なことを具体的にしたり、言葉に落とし込んだり…。それは、共通の認識を持てるからです。でも、それだけでは、足りない・捉えきれない状況にたくさん直面してきて、今では感覚的な部分を大事にするようになりました。「梅干しは嫌いだけど、梅味のお菓子は好き」「餡子もお米も大好きだけど、おはぎは嫌い」そういった理屈で整理しづらい感覚がとても大事なことだと。「女性は、アボカドやチーズが大好き」は、当てはまる人もたくさんいると思いますが、当てはまらない人もたくさんいます。

 

 

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イメージで訴求するとき?

 

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 商品やサービスを宣伝する時に、その内容ではなくイメージで訴求することがあります。どうして商品自体をアピールしないのか?なんて疑問を持つ人もいますが、それは競合他社と大きく差別化できない商品やサービスだから。また、そのブランドの空気感が購買に影響するからです。家電メーカーは商品で訴求しますが、携帯会社はイメージで訴求する。そんな感じです。

 

街中を歩いていると、たまにそれが逆転している広告を見かけます。せっかく競合のいない独自性の強い商品を持っているのに、商品よりもイメージで伝えていたり、消費者が他社との違いを理解しづらい商品なのに、商品を前面に押し出していたり…。どちらも効果がないわけではありませんが、もっと効果が出せるはず。もちろん、いずれかに偏りすぎていていもダメなんですが、自社の商品やサービスの立ち位置を把握すれば、より効果的な方法を選択することができるかもしれません。その法則に合わせれば効果が出るとは限りませんし、あえてハズした方がウケる場合もありますが、基本を踏まえてからでも遅くはないと思っています。

 

 

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双方の不便を解消すれば普及する?

 

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 私が便利だと感じたあるサービスが世の中に普及しない理由を知りたくて、学生時代に先生に尋ねたことがあります。その時に答えは、「双方の不便が解消されていないから」でした。一方の不便は解消されて便利になっても、もう一方の負担が増えていたら普及はしないという考えです。それを聞いて、ものすごく納得してしまいました。

 

例えば、お店のトイレ。自分が使用中にドアをノックされるのは嫌です。利用しようとしている人も、ノックをするのは嫌ですし、目の前まで行かないと使用中か分からないので不便を感じます。そこで、お店のどこからでも見える目立たない位置に、使用中はランプが点灯するようにした商品が生まれました。双方の不便を解消するアイテムだから普及したというわけです。いろんな人が便利になるアイデアをたくさん考えていますが、それらは一方の不便だけを解消するものだったりします。お客さんが便利に利用できるためには?という視点は重要ですが、もしそういった便利になる方法を考える機会があったら、もう一方も便利になる方法を考えてみるのがオススメです。

 

 

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それ、掃除しやすい?

 

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 以前、家具小売店に勤めていた頃、たまたま店頭で接客をした際に、お客さんから「どうやって掃除をしたらいいの?」と聞かれたことがあります。「掃除?」主婦の目線からすれば、掃除のしやすさは重要な検討材料。おしゃれなシーリングファンやブラインドが欲しいと主張する旦那さんと、掃除が大変だと拒否する奥さんのやりとりをしょっちゅう見かけました。

 

その商品の管理のしやすさは、大事なポイントなんですが、考えるのが後回しになってしまうことが多々あります。完成した商品を前に、「こうすれば掃除ができる!」「ここは交換できるようにしよう!」など後付けで考えることも…。そこをないがしろにすると、結果的に受け入れられない商品になってしまいます。掃除しやすい、移動しやすい、交換しやすい、修理しやすい、処分しやすい…。管理のしやすさを念頭に置いてアイデアを練る必要はないと思いますが、検討の際にはどれも盛り込むべき項目です。もし、自分が良いと思ったものが周囲に受け入れられなかったら、管理のしやすさが抜けていないかチェックしてみてください!

 

 

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マルがあれば三角と四角も検討?

 

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 まるい形があると、それを三角形にしたら?四角形にしたら?と、近い形状に変えた場合を想像します。丸いロボット掃除機が販売されたら、三角形や四角形が出てくるのと同じ。五角形や六角形までいくことはないんですが、鉛筆なんかは六角形から三角など様々ですよね。

 

「近い形状に変えたらどうなるか?」スタイリングの力が未熟だった頃、私はその方法を使ってよく考えていました。当時、練習問題として出されて覚えているが「つり革」。(現在は三角が主流ですが)丸いリング型のつり革をどんな形状に変えたら使いやすいか?という問題です。私の回答はイマイチでしたが、三角や四角、他の形状に置き換えてみるだけで、多くの発見がありました。「まるいリングは遠くからでも掴みやすいな…」「三角だったらつり革の真下に入れば握りやすいし強度もありそう…」別の形に置き換えるのは誰でもできることで、それだけで成立することはほぼありませんが、それぞれのメリットとデメリットを洗い出し、そこから新たな形状を導き出すにはピッタリの方法です。

 

 

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大きいだけでワクワクする?

 

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 先日、あるお店に指先ぐらいのサイズの小さな文房具が売られていました。MONO消しゴムや水のりのアラビックヤマトなどお馴染みの商品のミニチュア版。もちろんちゃんと使えるもので、つい使うあてもなく買ってしまいました。普段、見慣れていないサイズは、なんだかそれだけでワクワクしてしまいます。

 

大きさを変えてみる。広大な敷地の遊園地や超大型ショッピングモールはただ大きいというだけで魅力的ですし、数年前にお台場に突如現れた等身大ガンダムは多くの人を魅了しましたよね。何かを人に見せて感動や共感を得たいときに、中身にこだわって然るべきですが、サイズや色や質感など、表に見えるものを変えてみるのも1つの手です。普段使い慣れているからといってA4サイズの用紙を使う必要はないし、定型の封筒に入れて送る必要もありません。ガンダムのようなことはできなくても、大きさを変えるぐらいなら意外とできることが多いので、誰かをハッとさせたいと思ったらぜひ試してみてください!

 

 

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知らない人と旅行はしない?

 

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 今日初めて会った人と、旅行に行こう!と言われて行く人はたぶんいません。一緒に遊びに行こうと言われても行きませんが、お茶を誘われたら行くかもしれない。仲良くなったらできることでも、よく知らない人とできることは限られています。

 

先日、喫茶店で隣にいた営業マンが、お客さんに自分たちのサービスをこれでもかってぐらい勧めていました。話を聞く限り、その営業マンとお客さんは初対面。お客さんが利用を検討しているサービスは決まっていて、それについて話したいようでしたが、それ以上の提案をされて困惑していました。「いや、まずはこのサービスを利用してみてから考えます…」できるだけ利用してもらおうとするのは営業の役割ですし、お客さんのためを思って提案するのは分かりますが、距離感を間違えると、せっかくの親切心や気配りも不信感に変わってしまいます。あえて空気を読まないという方法をとって上手くいっている人がいるかもしれませんが、通用する人も限られているはずです。

 

 

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まとまってから似たもので比較?

 

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 検討の初期段階でアイデアを比較する際、同じようなものだけを候補にして比較しまうことがあります。仮にその検討で決めなくてはならないことが方向性の場合、その比較に意味はありません。「こっちの方がカッコいい」「こっちが好き」といった意見が出て、一歩も前に進まない検討になってしまいます。

 

比較検討をするときの注意点として私が教わったのは、そこで何を決めなくてはいけないのかを考えて候補を出すこと。新しい企画を考えはじめるなら、まずは切り口を変えたアイデアを候補に出すわけです。例えば以前、キャッチコピーの検討であれこれアイデアが出て盛り上がっていたときに、上司から「そのキャッチコピーで一番伝えたいことは何?」と投げかけられ、その場にいた人たちがバラバラの答えを出したことがありました。そこで、まず決めなくてはならないことは、キャッチコピーではなく、伝えたいこと。そこで、AとA’をどんなに比較しても答えは出ません。「この検討で何を決めるのか?」夢中になるほど、見失ってしまうことがあるので気をつけたいところです。

 

 

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ぴったりの方法を持っていない?

 

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 あるコンペの懇親会で、「それは本当にあなたが良いと思う表現なの?」と審査員の方から投げかけられたことがあります。えっ?と驚いてその意味を尋ねると、「あなたの考えと表現が合っていない…」と。自分の考えを表現するだけの手段を持っていないのだから、もっといろんな手段を知って、自分のベストな表現を選べるように学びなさいというメッセージです。

 

どんな分野でも、学ぶにつれて自分の武器や知識が増えていきます。そのまま学び続ける人はよいのですが、当時の私のように、ある程度武器が揃って満足してしまうと、持っている手段の中だけで戦うようになります。持っている手段が、自分の考えを表現するのにベストとは限らないのに、それが一番よいと疑わない。…結果、もっとよい手段があるのに、合っていないものを選んでしまうわけです。今、手元にある知識や経験で問題なく仕事ができていたり、表現するために不自由していなかったら要注意。たまにその審査員の方の言葉を思い返しては、「まだ知らない表現方法は試したの?」と自分に問いかけています。

 

 

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あなたが味方でいてくれるから頑張れる?

 

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 映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が、今まで頑張ってこれた理由を、一番近くにいる人がずっと味方でいてくれたからだと言っていました。それを聞いて私はとても共感してしまいました。今、自分が自信を持ってやれているのは、間違いなく近くにいる人が味方でいてくれているからなんですよね。

 

以前関わったある会社に、スタッフが自信を持って取り組んでいるチームがありました。毎日忙しく厳しい環境で、どのチームも疲弊していましたが、そのチームだけは折れることなく頑張っていました。理由は、そのチームのリーダーが絶対的にスタッフの味方でいたこと。スタッフを信じて守り、先頭に立って周囲と戦い続けていたんです。一方で、上手くいっていないチームのリーダーは、スタッフの能力を信じず、クライアントや上司の側に立って一緒にスタッフを叱咤する始末。味方のいないスタッフたちは日が経つにつれてその会社を去っていきました。近くにいる人が味方でいてくれること。それほど大事なことはありません。

 

 

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オマケはあくまでオマケ?

 

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 ご来店で10%OFF!ご来店でプレゼント!何かしらの特典をつけて、自分たちのお店に来てもらおうと考えます。ただ、それらはあくまでオマケ。そのお店に行きたいと思うまでには至りません。10%OFFになるからといって、1時間かけて出掛けることはないんですよね。

 

人を集めようとするときに陥りがちなのが、「何があったら来てくれるか?」という発想。もちろん、興味があるお店やイベントにさらに特典があれば、行く確率は上がります。ただそれは、“興味がある”場合に限る。興味を持ってもらえないものに、いくらオマケを加えたところで、集まったとしてもそれはオマケ目当ての人ぐらいです。本来は、お店やイベントの魅力を伝えて、商品が欲しい!参加したい!と思ってもらうための方法を考えるべきなんですが、どうにか集めないといけない状況になればなるほど、考え方がズレていってしまうんですよね。自分が遠くのお店やイベントに出向いた理由を思い返せば、それがオマケではないことに気付けるはずです。

 

 

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感覚的な要望の応え方?

 

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「なんかこうスマートなデザインで、スタイリッシュな空気感で…」デザインの要望をそんなふうに感覚で伝えられることがあります。当然、私のスマートと相手のスマートには差異があるので、そのまま受け取って表現しても、相手の言うスマートになることはありません。だから私は、まず相手の趣味嗜好を調べるところからはじめます。

 

普段、どんなものを身に付けていて、どんな生活をしていて、何に魅力を感じるのか?プライベートまでは分からなくても、よく観察するとその人の感覚が少しずつ見えてきます。ただ、そこで得た情報はあくまでこちらの想像の範囲。それを確信にするための質問をしたり、具体例を示した際の反応を見てその感覚を自分に落とし込んでいくわけです。昔は、相手の感覚を無理矢理に定義付けたりしていましたが、私たちの感覚はそんなに単純ではないんですよね。「AとBの条件を満たしていれば、スマートってことですよね?」と言われたって、当てはまらないものだってたくさんあります。

 

 

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切羽詰まるとやる?

 

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 1ヶ月後にできていればOK…それだけ余裕があったはずなのに、なかなか手をつけないまま日が経って、直前になってあたふたするなんてことが多々あります。でも、切羽詰まった状況になると、どんなにのんびりした性格の人でも集中して取り組みますよね。子供の頃の夏休みの宿題やテスト勉強を思い出します。

 

以前、ある人から集中力を高める方法として、やらなければいけないことを細かく分けて期限を短く区切る方法を教えてもらいました。仮に1~4までの工程があったら、1~4までを1ヶ月後までに仕上げるのではなく、1を1週間後、2を2週間後といった具合に短く区切るわけです。切羽詰まるタイミングを増やす。自分で設定すると、よっぽど自分に厳しい人でない限り「最後の締め切りはまだ先だからな~」と先延ばしにしてしまいますが、第三者からその期限を指定されると効果絶大。向こう1週間ぐらいまでの間に設定するのがオススメだそうです。朝、家を出る時間を決められているから、どんな人でも身支度は効率よくやってしまいますよね。

 

 

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