温かみのある工業製品?

手づくりは温かみがある。工業製品は冷たい。そんな声を聞いて私はとても違和感を抱きました。それは、手づくりを冷たいと感じたり、工業製品を温かいと感じたことが過去にあったからです。
実際にあったものではありませんが、極端な例を挙げれば、乱暴に作られたものは手づくりだったとしても、血が通っていない感じがします。反対に、使う人を意識して細かなところまで気を配って丁寧に作られた工業製品は、機械で作っていたとしても血が通っている感じがする。そこに、手づくりか工業製品かはあまり関係ないと私は思っています。何でもかんでも手づくりの方が温かいと言うのはちょっと違う…。当然、人によって感じ方はそれぞれですし、少し不恰好な出来の手づくりは確かに温かみがあります。でも、結果的に私たちが選んでいるものの中で、手づくりはごく一部。もし工業製品に全く温かみがなかったら、きっと私たちは選んでいません。そこに少なからず熱があるから選んでいるはず。「手づくりは温かみがある。工業製品は冷たい。」のように、大枠で区別してしまうと、本当のところが見えなくなってしまうように思います。