課題解決型デザイナー?
私は、抱えている課題を解決したり、上手く表現しきれていないことを表現するデザインがどちらかと言えば得意です。なので若い頃は、考え抜かれた対象物や、世の中に広く定着している普遍的なデザインについては、自ら切り込むことを苦手としていました。そこにダメなところがないからです。
新たな表現を模索する訓練。課題解決型デザイナーにはそれが必要だと思っています。私自身がこれまで過ごしてきた環境で良かったなと思うのは、家具デザインに長く携わってきたこと。世界中に素晴らしいデザインの家具が溢れている中でそこを考えることで、課題解決とは違うベクトルでデザインを考えられるようになりました。純粋にそこに在るべき姿を求めるようになったというか…。私の勝手なイメージですが、そこが弱いと、奇をてらった提案や付加価値をつけることに逃げてしまう癖がついてしまいます。例を挙げるなら、純粋に飲みやすいコップをデザインできない。ベースとして必要なのは、他の人がやらないことではなく、他の人もやっていることでより良いところを目指すことだと思っています。