デザインのあてな

身近なところにデザインのヒント

“そのもの”として見ない?

 

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 “そのもの”を探さない…。ちょっと極端ですが、キッチンでタオルをかける場所を作りたいときに、私はキッチン用タオルハンガーを探しません。キッチンでタオルをかけるのに丁度いいものを探します。結果的に、キッチン用タオルハンガーを選ぶことももちろんありますが、その視点で探すと思わぬ発見があるからです。

 

この考え方は、私のデザインにも活かされていて、“そのもの”が上手く当てはまらなかったとしても、すぐに別の方法を模索できるんです。そう考えるようになるまでは、上手く当てはまらなくても無理矢理はめ込むか、断念するかのどちらか…。今では何か求めるものがあると、専門店に行かずにホームセンターやショッピングセンターなど、目的以外のものがある場所でくまなく探してみます。「白っぽい色で、柔らかくて、簡単に加工できるもの」と頭の中でブツブツ言いながら、いろんな商品を眺めていると、「おっ♪」という瞬間がよくあります。

 

 

中央揃えは使わない?

 

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 あるデザイナーさんと雑談をしていたら、「中央揃え」という機能を使わないという話で盛り上がりました。文章などを入力して「中央揃え」をすると、とても違和感のある中央揃えになるからです。マンガのような感じです。

 

便利な機能は、大量のデータを処理したり時間を短縮するには快適ですが、使い慣れてしまうとその機能で生成されたものに対して違和感を持たなくなることがあります。例えば、画像を自動的に指定したサイズにしてくれる機能。もちろん快適ですが、その画像の中央から指定のサイズでカットするので、重要なところが切れてしまったりすることもあります。全てを手作業でやることはできませんし、ボリュームにもよりますが、1つ1つ異なるものについて同じ処理をすれば、少なからず至らない点が出てくることを理解していないといけません。 

 

 

全パターンをしっかり見せる?

 

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 妻がよく利用するアパレル通販サイト。私も妻も実物を見て購入するタイプですが、そのサイトは検討するための要素が全て詰まっているので快適に買い物ができるそうで、話を聞いて驚いたのが、色違い・サイズ違いまで全パターンをモデルが着用して写真を載せていることでした。

 

昔、家具のカタログを制作していた際、販売スタッフから全色の写真で載せて欲しいと言われたことがありました。はじめて言われたときは、ページ数の兼ね合いもあり、写真1枚とその他の色はカラーチップで表現…。しかし、別の機会にスペースに余裕があり全色を掲載したら、他の色が売れるようになったんです。当たり前の話ですが、「他の色は想像してください!」よりも、「他の色はこんな感じです!」の方が検討しやすい。高額の商品を販売するお店が一部しか表現せず、1,000円の服を販売するお店が全パターンを掲載していたりするから不思議です。

 

 

真冬にアイス屋さんオープン?

 

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 まだまだ寒さが続く中、自宅の近くにアイスクリーム屋さんがオープンしました。通る人たちは、口々に「こんな寒いのに、なんで今アイスクリーム?」と…。中には、お店の名前をスマホで調べ出す人もいました。反応は上々。

 

最寄り駅の周辺は単身の若者が多く住んでいるので、テストマーケティングに使われることも多く、主要エリアに出店する前に若者の反応をみるために出店されます。今回のアイスクリーム屋さんの場合は、きっとこれから2~3ヶ月の動向をみて、今後の出店計画を検討するはず。一番盛り上がる夏に向けて動いているはずです。仕事をしていると、本番一発勝負!がほとんどですが、二発勝負の方がより大きな成果を上げられることもある。よく言われることですが、100%の準備をして本番に臨んでも転んでしまうことは多々あるので、もし余裕があったら本番に向けてリハーサルをしてみてはいかがでしょう。

 

 

価値観のブレ補正?

 

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 妻の勤め先にはアルバイトの大学生がたくさんいて、今の大学生がどんなことを面白いと感じて、どんなことに時間を使って…といった情報が、私のところにもひっきりなしに入ってきます。メディアよりもはやく流行も分かるので、刺激を受けるとともに、私の“想像の若者”とのブレを日々補正しています。

 

自分と異なる価値観を持つ対象(自分以外は全員そうなんですが…)について考えるときに、経験や資料で済ませてしまうことがあります。ただ、日々変化していることについて古い情報で理解したつもりになってしまうと、ターゲットに合わせてやったのに結果が出ない…となって、別の原因ばかり探ってしまったりします。対象の該当者に接触するのはなかなか難しいかもしれませんが、所々で価値観のブレを補正していかないと、いざというときにズレた判断をしてしまうかもしれません。

 

 

シンプルに考える?

 

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 考えるのが得意な人は、どんどんシンプルにしていく。考えるのが苦手な人は、どんどん複雑にしていく。要望や課題をもらってからの進め方が人によって別れる印象があります。もともとはシンプルなことなのに、ややこしく考えてしまうことはありませんか?

 

一方で、シンプルにすることを少しズレて捉えている人もいて、「要は、目的さえ達成できればいいんでしょ。」と極端な解釈をしたりします。あくまで私の捉え方ですが、要点をシンプルにしていく作業が「シンプルに考える」こと。要点を省いてしまったり、一部だけを抜粋するのはちょっと違います。場合によっては、不足している要素を付け加えることだってある。考え方に正しいも間違いもないのかもしれませんが、この「シンプルに考える」は、何においても重要なスキルなので、近くに得意な人がいたらぜひコツを教わってみてください。私は恵まれたことに近くにそんな人がいるので、いつも教わってます。

 

視覚以外に訴える情報?

 

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 ご縁があって、明日2月20日から開催される作品展の会場をデザインさせていただきました。その企画段階であった要望の1つが、「入口で自然を感じられるようにしたい」。検討を重ねた結果、視覚以外でも伝える方法を採用しました。

 

偽物の木を生やしたり、水を張ったりしてリアルな自然を表現する以外にも、自然を感じられる方法はある…。木を踏むことで足で自然を感じたり、匂いや音で感じたり、エリアの移動の際に少しだけ潜ると言ったちょっとしたアクションでも自然は感じられます。映像よりも写真の方が臨場感がある場合だってある。例えば匂いなら、実際に匂いがしなくても、写真を見て匂いを想像することだってあるんですよね。いろいろあっての今回のプランではありますが、こういった五感に訴えかける提案に共感してくださった主催の方々に感謝です。

  

明日、2月20日から開催される「青柳派の硯展」。ご興味のある方は、ぜひご来場ください!(詳細は公式サイトにて)

 

 

「あった方がいい」は無くてもいい?

 

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 学生時代、提案をする際に「あった方がいい」という言葉を使うな!とよく怒られました。「あった方がいいってことは、無くてもいいってことでしょ。無くてもいいものを作る余裕なんてウチの会社にはないよ…」。だから、絶対にあるべきだと主張しなければいけない。

 

また、他の人が「無くてもいい」と思っているモノを周囲にあるべきだと共感してもらう方法について、実際に作れ!と教わりました。作って使ってみて、あらためてジャッジをしてもらおうというわけです。一部の鉄道会社が実用化している駅のホームと線路の間に設けられたホームドア。当初は「無くてもいい」という声もあったそうですが、実用化されたことで「確かにあるべきかも…」と、周囲の反応に変化が生まれたそうです。あった方がいいモノとあるべきモノ。後者の方が前のめりに耳を傾けてもらえるのは確かです。

 

 

通らない提案もする?

 

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 相手の求めることを理解して表現できるようになると、それを提示するようになります。いわゆる「落としどころ」が分かるようになる。同時に、それ以外のことを提示しても意味がないと思ってしまうため、相手の求めること以上の結果にはなりません。

 

私の周囲の優秀なクリエイターたちは、相手が求める表現に加えて、必ずと言っていいぐらいもう1案を出しています。要望通りの案と、要望を咀嚼して考え方を再構築した案。下請けだと結果的に要望通りの案に落ち着くことがほとんどなので、それ以外の案を考える労力を惜しむ人も多いと思いますが、この“もう1案”が結果を大きく変えるのは確か。自分も相手も完璧ではないので、考え方を再考する材料になります。比較なしに検討はできません。

 

 

具体的でないと興味ナシ?

 

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「こんなモノがあったらおもしろい!」といった話題になっても、あまり盛り上がった記憶がないんですが、一度だけ盛り上がったときがありました。それは、具体的にして示したとき。架空のアプリですが、「画面がこんな風になって、こうするとこうなって…」とスマホで見せたら、思いのほか盛り上がったんです。

 

何かを提案したときに、相手があまり興味を持ってくれなかったりすると、そのアイデアが良くなかったんだと感じてしまうことがありますが、それは少しもったいないかもしれません。話を聞いてもイメージが湧かないだけかも…。ちょっと具体的にするだけで、興味度合いは格段に変わります。私はよく模型を作ったり、実際のサイズで見せたりしますが、やっぱり話が弾むんですよね。なかなか取り合ってもらえないようなこともありますが、その時は、いつもより具体的に見せてみてはいかがでしょう。

 

 

 

ちなみにですが、盛り上がった架空のアプリは「JAPAN QUEST(仮)」。自分が行ったことのある場所が、自動的に塗りつぶされていって、自分が日本をどこまで制覇したかが分かるものです。日本の全駅を制覇したい人の感覚で、行ったことのない日本に足を運びたくなるのでは♪

 

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カタチから入ってもいい?

 

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 「まずは大枠を考えてから□□」「基本的なところを抑えてから〇〇」…。仕事の進め方はいろいろありますが、手順通りに進めなくても良いというのが私の考えです。カタチから入ってもいいし、順番を逆にしてもいい。

 

先日、ある技術を取り入れてデザインを考えるという話がありました。すると、ある人が「その技術を使うことを前提に考えるのはおかしくないですか?」と。考えていった結果、必要になるかどうか分からない技術を、はじめから使う前提で進めることに違和感があったんです。手順を飛ばして進めるように感じたのかもしれません。でも、そこからはじめるから見つかるアイデアもあるはず。考えるべきところをきちんと考えれば、順番はどこからでもはじめていいと思っています。考えが行き詰まったときには、ちょっと入口を変えるだけでも打開策が見つかったりします。

 

 

自分のコピーが欲しい人は、一人で仕事をしている?

 

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 10年ぐらい前は、「自分がもう1人いたら、仕事が捗るのに…」と思っていました。でも、今は思いません。ふと、そんなことを考えていたら理由が気になって、私の中で出た1つの答えは、「まわりの人と仕事をするようになったから」でした。

 

以前も今も、まわりに人はいますが、それまでは自分1人で仕事をしていたように思います。責任感が強いと言えば聞こえはいいですが、それは周囲を信頼していないだけ。個人プレーでは成果が出ないことが、きっとどこかで分かったんでしょうね。個の力は大事ですが、個人プレーは×。人が関わるほどそれを実感します。私は一度独立に失敗しているんですが、一番大きい理由はそこだったのではないかと思っています。気づくのが遅すぎたかもしれませんが、今はどの仕事も一緒に仕事をしている感覚を忘れないようにしています。

 

 

またココにお願いしたい!

 

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 友達の家の冷蔵庫が壊れたという話を聞いて、てっきり買い換えたのかと思ったら、その後、修理してそのまま使っているそう。ダメもとでメーカーに問い合わせてみたら、保証はとっくに切れているにも関わらず、無料で修理してくれたそうです。冷蔵庫を買い換えるときがきたら、同じメーカーを選びたくなりそうですね。

 

「また同じところを選びたい!」と思ってもらうのは簡単なことではありませんが、きっとそこまで難しいことをしているわけでもありません。些細な気遣いやひと手間でもいい。私が続けて利用しているところは、どこもそれがあります。「やるべきこと+α」といったところでしょうか。ある日、美容室を出る時に雨が降りそうだったとき、「これ返さなくても大丈夫ですから持っていかれますか?」とビニール傘を差し出してくれて、私はまた利用したいと思いました。『期待を超える!』なんて大げさなことでなくても、「また同じところを選びたい!」と思うことはあります。

 

 

その言葉を言える行動?

 

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 先日、近所のスーパーが撤退しました。子どもの頃からよく利用していたこともあって、とても残念でした。つい数日前には、近所の写真館が店をたたみました。もちろん残念な気持ちになりましたが、それを口には出せませんでした。一度も利用したことがなかったからです。

 

それを言えるだけの行動をしたかどうかはとても大事なことだと思っていて、選挙に行っていないのに政治に文句を言ったりするのはどこかおかしいですよね。他人から何かを言われた際にも、すんなり受け止められるときとそうでないときがあるのは、その人の行動と照らし合わせているからだったりします。行動が周りから見えないがために受け止めてもらえない場合もありますが、もし自分の言葉を受け止めてもらえないとしたら、それは行動を伴っていないからかもしれません。