デザインのあてな

身近なところにデザインのヒント

作り込む前にチェック?

 

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 デザインの制作途中で、周りの人から「どんな感じ?」と覗かれるといった経験が皆さんあると思います。それだけ興味を持たれていたり、不安を感じさせているのだと理解して、私はすぐに見せていました。「完成するまで見せたくない」「邪魔されたくない」と嫌がる人も多いので、その気持ちもよく分かります。

 

集中しているところを遮られるのは確かに嫌なところもありますが、ただ、見せないのは少しもったいないかもしれません。それは、途中で誤ちに気付くことができるからです。すべてではありませんが、ある程度完成した状態で見せたいと思うのは、詰めの甘い部分を画づくりでカバーしたいからとも言えるからです。周りも素人ではないわけですから、途中のラフの状態だったとしても、それが意図を汲めているか?良い仕上がりになるか?は判断できます。そこを拒否するのはもったいない。そこで立ち止まって、今一度方向性などが正しいかを考えるチャンスです。茶々を入れられたくなくても、後々、丸ごとつくり直すことを考えたら、途中で気づけたほうがいい。こちらから中途半端な状態でお伺いを立てるのはダメですが、向こうから来た場合はむしろ見てもらったほうがよいのではないでしょうか。

 

 

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とことん言葉で整理する?

 

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 デザインを考える際、私はとことん言葉で整理します。メモ帳や要らない紙に、言葉を書き込んでいく。腑に落ちるところまで整理できるまでは、画は描きませんし、パソコンには触りません。これはあくまで私の手法で、正しいとか良いとかではありません。

 

以前も同じようなことをブログで書いたかもしれませんが、画をつくると何となく出来ている感覚に陥ってしまう場合があります。まだ頭で整理しきれていない状態だと、つくりはじめた目の前の画を見て満足していってしまう。「この言葉を使ったら収まりがいいな♪」「文章が長いから省略しよう!」など、見た目先行の思考になることも…。それは、言葉を変換してはいけない内容だったり、長くてもしっかり記載しなければいけないかもしれないわけです。はじめに、そこを整理しているかどうかで、その判断の精度が増します。もう1つこの手法の良い点は、表現が広がること。いきなりつくりはじめるときは、パッと思い付いたいくつかの画の中でしか検討しませんが、整理しきった状態なら、それを伝えるための表現がいくらでも湧きます。アイデアを出すのが苦手な人は、発想云々というよりも情報整理の精度を上げていくのがオススメです。

 

 

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失敗すると加減ができる?

 

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 微妙な加減が味の決め手。少しでも配分が異なると上手くいかないことが多々有ります。料理だったらレシピ通りに作れば上手くいくんですが、計って作っているとなかなかその配分が身に付きません。適当に入れてみて少ししょっぱかったり、味が薄かったりした経験が、微妙な加減を身に付ける鍵になると思っています。

 

デザインの初心者向けの参考書などを眺めていると、料理のレシピに近いものがたくさん載っています。「こことあそこは7:3のバランス」「この色とこの色を組み合わせると視認性が高い」など。そのレシピにのっとって作れば、ある程度の味に仕上げることはできます。もちろん、そういった勉強は必要です。でも、レシピを暗記する感覚で身に付くので、いざそれを実践するときには“思い出す”という感じになってしまいます。だから、自分でいろいろと試してみて学ぶことも必要。自分が良いと思ったバランスや配色で作ってみて、それについて上司や先輩にアドバイスをもらえば、その加減を肌感覚で覚えることができます。全く同じ味を提供しなければいけない場合や、正確な配分でないと成立しない場合もありますが、それ以外の場合は自分の加減で調整できるようにしておいたほうがよいかもしれません。

 

 

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数を増やして解決する?

 

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 アイデアを考えたけれど、上手くいきそうにない…。そんなことはよくありますが、それをすぐに捨ててしまうのは少しもったいないかもしれません。もしかすると、まだ試していない方法を使って、上手くいくアイデアに化ける可能性があります。

 

それは、数や量を変えてみる方法。1つだから上手くいくイメージが湧かないだけで、それが5つだったら上手くいくかもしれません。極端な例ですが、駅からだいぶ離れた場所にお店を出しても、あまり集客が期待できるイメージが湧きませんよね。でも、そこに5つお店を出したら、ちょっとイメージが変わりませんか?「5つのうちのどれかを目的に来店してくれたら、他の4店舗も立ち寄ってくれそう♪」「立地のわるい場所にどうしてこんなにお店が!? と話題になるかも♪」と、ポジティブなイメージが湧いてきます。駅前でチラシ配りをしても受け取ってくれる人なんていないと思っても、もし同じ場所で10人が配っていたら…?実現できるかどうかは一旦置いておいて、そんなふうに数や量を少し変えてみるだけで可能性が広がっていくこともあります。

 

 

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いじくりまわしてみる?

 

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 実際のモノを手に取り、とことん使って触っていじくりまわす。もう十分と思ってからも、ずっと触り続ける。逆さにしたり、転がしたり、揺らしたり…。飽きるぐらい触っていると、不思議と新しい何かが見つかります。これは、学生時代に教えてもらった方法です。

 

例えば、マスクをデザインする。情報や頭の中で考えるのもアリですが、具体的なモノが浮かび過ぎたり、自分の知識で完結してしまったりして、たぶんなかなかアイデアが膨らまない状態になります。そんなときは、目の前のマスクをとにかくいじくりまわす。裏返したり、折り曲げたり、伸ばしたり、小さく畳んでポケットにしまったり…。そんなことを繰り返しているうちに、「ずっと触っていると毛羽立つんだなぁ」といった気付きが出てきます。それは、触り続けて気付けること。「手で考えなさい!」とよく怒られた経験がありますが、まったくその通りで、資料を集めたり絵を描いたりすることでは分からないポイントがいくつもあります。もし、ありきたりのアイデアばかりで行き詰まってしまったら、現状のソレをとにかくいじくりまわしてみてはいかがでしょう。

 

 

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言葉だけで説明してみる?

 

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 目の前のペットボトルを、メーカー名やブランド名を伏せて言葉だけで他人に伝える。微妙な形やラベルの色など要素をいくつか挙げて伝えても、それを聞いてソレをイメージするのは難しく、言葉で伝える難しさが分かるようになります。ただ、うまく伝わったときには、的確に言葉に置き換えられた!と嬉しくなるんですよね。

 

この“言葉に置き換える”が上手くなっていくと、その逆ができるようになります。つまり、言葉を聞いて画を描くことができるようになる。すごく分かりやすいワードから想像するのは元々できていたとしても、上手く表せていないワードから具体像を描くのは難しいもの。ただ、自分が上手く言葉にできなかったときの経験がここで活きて、抽象的なワードやニュアンスを汲み取れるようになります。文章で渡された資料や、打ち合わせで出てきた言葉を具体化するような場面で、この方法は役に立つわけです。普段、絵を描くことばかりに偏っている人は、それを言葉に置き換えてみるのがオススメ。簡単に置き換えられるとしたら、それはとても伝わりやすいモノだとも言えます。言葉にすると上手く魅力が伝わらないようなモノこそ、試してみる価値ありです。

 

 

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今日は「青くて丸いもの」?

 

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 普段からちょっとしたトレーニングをしていると、いざ何かを考えるときに役に立ちます。いくつかやっている中でオススメしたいのは、テーマを決めてそれを探すゲーム感覚のトレーニング。通勤・通学の時間など、何かのついでに出来るのが良いところです。

 

例えば、「今日は、青くて丸いもの!」と決めて家を出ます。そして。会社や学校に着くまでにそれを探していくトレーニング。「そんなもの無いよ!」と言いたくなるようなテーマでも、やってみるといくつも見つかるから不思議。普段は、気になったものしか見ていないので、いつもの道にあるものを見逃しているわけです。「(クリーニング屋さんのイラストを見て)意外と水玉模様って使われてるな♪」「(青い帽子かぶってる人を見て)その色選ぶ人いるんだな~」など、何かしらの発見がある。日ごとにテーマを変えてやっていくと、だんだん探すのが上手になっていきます。このトレーニングをすると、「青くて丸いもの」をいくつか挙げなければならないときが来たらすぐに出せるように。全く同じ機会が訪れることはまずありませんが、その頭になっていると、比較的簡単に出せるようになります。

 

 

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その人にとっての位置付け?

 

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 アイデアを考えていくと、つい自分に都合のよい捉え方をしてしまう場合があります。「これは基本的に見てくれるモノ」「気になっていること」として考えたりしてしまって、大前提がズレてしまう。それが起きないようにまず必要になるのは、これから考えるモノがその人にとってどんな位置付けなのか?を知ることです。

 

チラシを受け取ってほしい対象者がいて、それにはティッシュ配りが有効だという情報があったとします。すると、何の疑いもなくその手段を選択してしまう…。少し深読みすると、その対象の人たちが受け取る理由は、配っている人が一生懸命に声を掛けながら頑張っているからかもしれません。そうなると、ティッシュ配りではなく、配る姿勢に目を向けないといけません。ティッシュである必要がない可能性も大いにあるわけです。あまり例えがよくありませんが、その人にとっての「位置付け」を正確に捉えないと、せっかく考えたアイデアもうまく効果を発揮しません。過去の成功事例や数値的なデータの表面だけを見て判断すると、大前提が全くちがうなんてことになるので注意が必要。個人的には、アイデアを考える前の重要なポイントだと認識しています。

 

 

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両端を結ぶ?

 

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 誰かに向けてデザインする。それが、具体的な人物像を思い浮かべられるぐらいまで決まっていたら、その人に向けて考えればよいのですが、ほとんどの場合は対象とする人の中に幅があります。「30歳の働く女性」と定めていても、生活環境も趣味嗜好も人それぞれ…。

 

その幅の中で、特定の誰かをイメージして考えてもよいのですが、考えにくい場合は、その中の際立った特徴の2人ぐらいをピックアップして、その2人に向けて考えてみるのがオススメです。例えば、「30歳の働く女性」がスーパーに買い物に行くとき。自転車でスーパーをハシゴしてこまめに買い物に行く人と、車で大型スーパーに行って一週間分まとめ買いする人。その2人に共通するところを探していくという考え方です。全くちがう行動を取っているように見えて、実は同じ目的や価値観があったりして、「30歳の働く女性」に向けて考える核となるポイントになるわけです。あまりやりすぎると平滑化しすぎて特徴が薄れてしまいますが、新しい視点や共通項を発見するには良い方法だと思います。考える内容によっては、1人に向けて考えるよりも、2人に向けて考えた方がアイデアが出やすい場合もあります。

 

 

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「分かった」よりも「知りたい」?

 

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 自分が発信する情報に反応してもらいたい。例えば、広告などで商品を訴求するときに、商品の魅力を伝えようとします。それは決して間違いではありませんが、求めている結果がリアクションなら、少し考え方を広げた方がいいかもしれません。

 

簡潔に強く商品の魅力が伝わる広告があったとします。それは、情報を整理されていて、多くの人が目に止めるデザイン。ただ私は、「そういう商品があるんですね。分かりました。」という反応をすることが多いんですよね。私がひねくれている面も否めないのですが、実際のところ、同じような反応をする人もいるのではないでしょうか。一方で、興味をそそられてしまう広告は、「えっ何?何?」と、もっと詳しく知りたいという気持ちにされられてしまいます。いわゆる上手い広告です。街を歩けば、同じようなデザインでも機能が全く異なる広告がたくさんあります。見た人の反応が、「分かりました。」と「知りたい!」ぐらい差がある。広告に必要なのは、後者であると私は考えています。しっかりと伝えることは確かに重要ですが、分かりやすく伝えきってしまうと、納得で終わってしまうこともあるので注意が必要です。

 

 

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分解すれば組み立てられる?

 

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 分解したボールペンを目の前に置かれたら、きっとほとんどの人が組み立てられます。それは、学校の授業中や仕事で集中できないときなどに一度は分解したことがあるからです。でも、分解したことのなかったら、素材としてバラバラの状態で手元にあったとしても、組み立てることができません。

 

以前、模写で学ぶことが重要だといった記事を書いたことがありますが、同様に「分解」もとても良い勉強になると思っています。例えば、お気に入りのカッコいいポスター。それを、背景の写真と文字とロゴと…、といった感じで少しずつ分解してみるわけです。それをさらに、背景は元々の写真と色のグラデーションと絵っぽく加工しているなど、細かく分解。すると、どういう素材から成り立っているのかを知ることができます。そうしたらもう、きっと同じようなポスターを作ることができるように♪実際は、そんなに簡単にいかないところもありますが、何でできているのか?を知ることはとても重要。目の前の素材で何が作れるかを考えられるのは、その素材でできているものを知っていなければなりません。

 

 

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第三者が紹介しやすい?

 

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「良いのは十二分に理解できるけど売れない」小売店に勤めていたときに販売スタッフからそう言われました。理由をたずねると「良さを伝えづらいから」。手間がかかっていて、貴重な材料を使っていて、見た目がカッコいいのは分かるけれど、どれも伝えづらいということでした。

 

三者が紹介しやすいか?そこからそれを考えるようになりました。もちろん、人それぞれが感じ取る良さもありますし、分かる人にだけ分かる良さもあります。でも、それだけでは成り立たないモノもある。そこで、誰でも伝えられるような工夫が必要になってくるわけです。多くの人が共通で持っている価値観や知識に重ねたり、分かりやすい言葉に置き換えられるポイントをつくる。芸術作品では必要のないことも、商品においては必要になってきます。人も似ていて、自身が商品の一部になっているような人は、その部分を上手く活用しています。分かりやすい簡単な言葉で表現できるポイントを作っていて、誰もが紹介しやすくしているわけです。3つぐらいのキーワードで表現できるとよいという話もよく耳にしますので、何かを考える際は、そこを意識して取り組んでみると、伝わりやすいモノになるかもしれません。

 

 

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それが無かったとしたら?

 

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 固定概念を外すのは、頭では理解していても実践するのはなかなか難しいものです。どうしてもチラついてしまう…。そんなときにオススメの(というか教えてもらった)方法が、「もし、それが無かったらどうする?」です。そうする方法が無い状態から考えてみる方法。

 

例えば、お皿を考えるとなると、“あのお皿”が頭に浮かんでしまいます。それを、「この料理をテーブルで食べる方法が無い…」としてみるわけです。そうすると、考えはじめる段階で、陶器が前提にもならないし、丸い形状が良いとも思わない。家の中でもお弁当箱のような箱型が良いと考えるかもしれないし、直にそこに置けるようなシートを考えるかもしれないし、調理したフライパンからお皿に移す必要もないと考えるかもしれません。それぐらい変わります。もちろん、結果的に今ある“あのお皿”に近いものになっていくこともありますが、同じような見た目でも考える視点が大きく異なっていることが実感できます。「もし、それが無かったらどうする?」この方法も完全に固定概念を外れるわけではありませんが、考え方を変えるきっかけとしては使えると思います。

 

 

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ひと通り試してみる?

 

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 発想が止まる瞬間があります。それは、良さそうなアイデアの種が見つかった瞬間。「よしっ!」となって、そこから考えはじめていきます。もちろん、良いと思えたそれはきっと良いアイデアになる。ただ、そこだけでGOをかけてしまうのは若干もったいないかもしれません。

 

もし前述の手段で良いと思えるものが出てこなかったときには、普段なら、また別の手段を用いて探していっているはずだからです。つまり、まだ使っていない手段がある状態。そこを試してみる価値があるわけです。もしかしたら、まだ試していない手段でもっと良いものが出せるかもしれない…。持っている手段の種類は人それぞれあると思いますし、私も決して多く持っているわけではありませんが、ほとんどの場合はひと通り試すようにしています。せっかく身に付けたものなら、使わない手はありません。試してみて新たに良いものが見つからなかったとしても、自身が出せるベストのアイデアであることが確認できます。それで結果が振るわなかったとしても後悔しないし、「もっと別の手段を増やしてみよう!」と思うきっかけにもなります。

 

 

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